『四方良し』社会への変化と必要なスキル
朝日新聞社が3月中旬から4月下旬に「平成とはどんな時代か」を8つの選択肢から2つ選ぶ全国世論調査を行い、「動揺した時代」が42%で最多であると発表しました。平成に入り、飛躍的なインターネット環境の技術進歩と物流革命により、社会、人、物の関わり方の幅が大きく広がり、変化の大きかった時代でもありました。「動揺」の平成が終わると、次はどんな時代がやって来るのでしょうか。
労働環境も変化し、フレキシブルな働き方の一つとして、2016年末に副業規定が廃止され、社員の副業容認の時代となりました。副業規定廃止の狙いのひとつには、個人の能力を所属する企業だけに留めず、日本の経済全体をより活性化させるという理由が挙げられています。実際に社員の副業を認める会社が増えており、兼業、副業、フリーランス、また、IoTも相まって、契約だけではなく、時間や場所にもとらわれない柔軟な働き方の拡大が本格的に始まり、組織対個人の関わり方が大きく変わっています。
こういった動きは、近江商人の商道徳で、中村治兵衛宗岸が残した「売り手良し、買い手良し、世間良し」を表す「三方良し」を元に、新しい軸を加えた、「四方良し」の社会へと変わろうとしている事にあります。この新しい軸とは「CSR」(Corporate Social Responsibility企業の社会的責任)と「CSV」(Creating Shared Value 共通価値の創造)に基づく物で、「未来」「働き手」「社会貢献」など、各企業がいろいろな定義を掲げています。
これからの時代は「働き手」個人個人の選択の幅が広がったことにより、多くの選択肢や技術を使って、誰にとっても良い環境、良い状況を作っていこうとする時代となっていきます。つまり、自由の幅が広がったからこそ、どんな組織にいようとどんな働き方をしていようと、個人が自身の能力を発揮する事、その為の分析やスキルアップなど、自身の能力をマネジメントする力がより重要な時代となっていきます。
教育でいえば、2020年からの教育改革を機に、考える力の育成を図っています。前例や一般論を鵜呑みにするのではなく、なぜ、その前例があったのかを自身で深く理解し、活用していくことが求められて来ています。前例や情報が多くある世の中だからこそ、勉強を通して自分なりの物の見極め方、習得の仕方をしっかり身に付け、それを基に自分で自分を導ける力が必要となっていきます。